今回ご紹介するのは、青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」です。
引用元:Amazon
自分がどうしたいのか・どの道を進んでいくべきか、悩んでいる5人の主人公達の短編集となっています。
彼等にぴったりの本を探してくれるのが、図書室のレファレンス係・小町さゆりです。
主人公達が抱えている悩みに対し、小町がおすすめの本と「付録」と称した羊毛フェルトを渡すというのが共通の流れになっています。
こちらの記事で分かること
- 「お探し物は図書室まで」概要
- 「お探し物は図書室まで」主人公・あらすじ
- 「お探し物は図書室まで」感想
ぜひ、最後までご覧になってください。
「お探し物は図書室まで」概要
お探し物は図書室まで概要
- 作者:青山美智子
- 発売日:2020年11月9日(文庫版・2023年3月2日)
- 本屋大賞:2024年の本屋大賞で2位を獲得
- アメリカ『TIME』誌:「2023年の必読書100冊」に選出
「お探し物は図書室まで」主人公・あらすじ
先ほどもご紹介しましたが、「お探し物は図書室まで」は複数の主人公が出てくる短編集です。
それぞれの主人公のあらすじをご紹介します!
「お探し物は図書室まで」の主人公達
- 朋香:21歳・婦人服販売員
- 諒:35歳・家具メーカー経理部
- 夏美:40歳・元雑誌編集者
- 浩弥:30歳・ニート
- 正雄:65歳・定年退職
朋香:21歳・婦人服販売員
田舎でくすぶっていたくない。東京でキラキラした生活がしたい。
そのように考える方も少なくないでしょう。朋香もその一人でした。
ですが現実は彼女の理想とはかけ離れていて、採用されたのは総合スーパーの婦人服売り場。
ここで働きながら年を取っていくのかと思うと、このままでいいのかと考えるようになりました。
職場で仲の良い桐山に、地域住民向けのパソコン教室があると聞いて試しに通ってみることに。
教室の帰りに、もっと勉強する為に立ち寄った図書室で小町に出会います。
自分の仕事は誰にでもできるし大したものじゃないとこぼす朋香に、小町は言いました。
小町は誰もが知る絵本の「ぐりとぐら」を勧めると共に、「付録」と称して羊毛フェルトを渡してきます。
朋香がもらったのは、フライパンの羊毛フェルトでした。
「ぐりとぐら」とフライパンが意味するものは何なのか、朋香の気持ちにどんな変化があるのでしょうか。
諒:35歳・家具メーカー経理部
高校時代に出会ったものって、大人になっても強く印象に残っているのではないでしょうか。
諒が出会ったのは、一本の古いスプーンでした。
以来古いものが好きになり、いつかアンティークのお店を開きたいという夢を持つようになります。
35歳になって家具メーカー経理部で働きながらも、その夢が忘れられずにいました。
ある日、恋人の比奈に付き合ってコミュニティハウスへ行った諒は、図書室で時間を潰すことに。
そこで小町と出会い、企業の本を探してもらいます。
夢は夢のまま終わってしまうかもしれないと言った諒に、小町はこう返します。
小町が諒に渡した本と「付録」は「植物のふしぎ」と「横たわって眠るキジトラ猫」でした。
アンティークのお店を開きたいという諒の夢とはまったく関係ないものですが、果たしてこれが意味するものとは?
そして、諒の夢の行方がどうなるのか。ぜひ見届けてください!
夏美:40歳・元雑誌編集者
夏美は雑誌編集者として熱意を持って働いてきました。
良い本を作りたいという情熱を、すべてぶつけてきました。
新しい命を授かってもその気持ちに変わりはなく、出産しても同じ仕事を続けるつもりでした。
ですが会社はそんな夏美の気持ちを分かってはくれず、資料部へと異動になってしまいます。
途方に暮れながらも娘の双葉を育てますが、初めての育児はなかなか上手くいきません。
原因は分かっていました。突然移動させられて、気持ちの整理ができないでいたからです。
そんな時に娘と一緒に出かけた図書室で、小町に出会います。
子どもが生まれてから行き詰まってばかりだと言う夏美に、小町はこう答えました。
小町が夏美に渡した本と「付録」は、「月のとびら」という占いの本と「地球」でした。
果たしてこの本は夏美の気持ちにどのような影響を与えるのでしょうか。
浩弥:30歳・ニート
浩弥は絵を描くことが好きで、仕事にしたいと思っていました。
しかしオリジナリティーがありすぎて、なかなか認めてもらえません。
仕方なく他の仕事に就こうとしますが、こちらも長続きしませんでした。
結果としてニートになり、家に引きこもるようになります。
そんな時母親に頼まれて、コミュニティハウスにお使いに行く浩弥。
図書室で小町と出会い、漫画の話で盛り上がります。
絵の仕事に就きたかったけれど自分には無理だったと話す諒に、小町さんは言いました。
小町が諒に渡した本と「付録」は、「ビジュアル進化の記録ダーウィン達の見た世界」と「小さな飛行機」でした。
諒はこのあと再び筆を取る気になるのでしょうか。彼の周りの人達との関係にも注目です!
正雄:65歳・定年退職
正雄は42年間務めた会社を、定年退職しました。
特に趣味もなく、やることがなくて時間を持て余します。
そんな時、妻の依子から囲碁教室を勧められました。
やってはみたもののルールがさっぱり分からずに、図書室まで本を借りに行くことに。
囲碁の本を教えてもらうために小町の元へ行った正雄は、彼女とこのような会話を交わします。
答えが出せずにいた正雄に、小町は「げんげと蛙」という詩集と「カニ」の付録を渡します。
本に書かれていた詩に、娘に、妻に、正雄は影響を受けていきました。
彼はこれからの時間をどう過ごしていくのか、彼の思いを一緒に見ていってください。
「お探し物は図書室まで」感想
「お探し物は図書室まで」を読んだ皆さんの感想をいくつかご紹介します!
「お探し物は図書室まで」青山美智子
人生に行き詰まりを感じ町の小さな図書館を訪れる人々の話。どの人にも分かる、という共感が芽生え、司書のさゆりさんから何を勧められるのだろうかと期待してしまう。読書から何を得るかは読んだ人だけ、っていうのがほんと読書の面白さよなってしみじみ感じた。
— Rita (@55ritaaa) March 9, 2025
青山美智子さんの「お探し物は図書館まで」読み終わりました!
本っていいなって改めて感じました。もし自分が勧めた本や渡したものが誰かのためになってたりしたら嬉しいなと思いながら読み進めました。
今はあまり読んでない絵本や詩や図鑑といったものも読んで見ようと思います!!
#読了— こま (@koma_book) March 5, 2025
「どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ」
『お探し物は図書館まで』
青山美智子書物そのもにも力はあると思うんだけど、読み方に価値を認めてくれるというのは、嬉しいですよね。
— よる (@mo_ooo_oooon) February 8, 2025
「お探し物は図書室まで」はそれぞれ悩みを抱えた主人公達が、小町に紹介された本をきっかけに自らの道を見つけて歩いて行く物語です。
自分のやりたいこと、理想と現実が違うことへの焦りと悩み、自分に合った時間の使い方など、本と共に見つけていきます。
本だけでなく周りの人達とも、会話を通じて主人公達を支えて一緒に歩いて行こうというメッセージが見えます。
主人公が他の主人公の話にひょっこり出てくるのも、繋がりがあって素敵だなと思いました。
「お探し物は図書室まで」はこんな人におすすめ!
- 一歩を踏み出したい人
- 心が温かくなるお話が読みたい人
- 図書館や本が好きな人
まとめ
「お探し物は図書室まで」のあらすじや感想をご紹介しました。
当然ながら図書室には、絵本から小説・図鑑などさまざまな本が集まっています。
普段は並んでいる本を眺めて、面白そうな本を手に取る方が多いと思います。
ですが時には、物語のように人生の指標となるような本に出会えることもあるのではないでしょうか。
今回「お探し物は図書室まで」を読んで、何だか久しぶりに図書館に行ってみたくなりました。
こちらの記事を読んで、面白そうだなと思ってくださったら嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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